風景をもっと美しく。初心者におすすめのカメラと撮影のコツをやさしく解説

初心者

「風景を撮りたい」と思うとき、それはきっと──その景色を“忘れたくない”という気持ちが、心に灯っている瞬間。

写真を始めたばかりの頃は、空の色や山の稜線、木漏れ日のやわらかさが、ただただ綺麗で、目の前にあるそれを「残したい」と強く思ったものです。
だけど、いざカメラを持つと、「どれを選べばいいの?」「設定って難しくない?」そんな戸惑いに出会ってしまうのもまた、正直な現実かもしれません。

この記事では、風景写真をこれから楽しみたいと願う“はじめの一歩”を、そっと後押しできるようなカメラたちをご紹介します。
ただ性能が高いだけでなく、「この1台と一緒に歩きたい」と思える相棒のような存在を、感性の視点からセレクトしました。

景色を撮ることは、自分の“見る目”を育てること。
それはやがて、人生の輪郭を少しずつ優しくしてくれる時間にもなるはずです。
そんな出会いを、ここから始めてみませんか。

初心者におすすめの風景写真向けカメラ5選

風景を撮るカメラに求められるのは、精密な描写力と、心の動きに応えてくれる操作感のバランス。
はじめての1台だからこそ、“簡単すぎず、難しすぎない”というちょうどいい距離感がとても大切です。
ここでは、そんな感覚に寄り添いながら、風景の美しさをそのまま閉じ込められるおすすめカメラを5台、私なりの視点で選びました。

1. Canon EOS R50(ミラーレス)

風景を「軽やかに、でも本格的に」撮りたいという願いに、驚くほど素直に応えてくれる一台です。
有効約2420万画素、APS-Cセンサーによる描写は、山肌のテクスチャーや雲のグラデーションをしっかりと写し取ります。
さらに「クリエイティブアシスト」機能で、色味や明るさの雰囲気も直感的に調整でき、難しい専門用語がわからなくても“感覚”で写真を仕上げられるのが嬉しいポイント。

375gという軽さは、撮影旅をもっと自由にしてくれます。
たとえば、早朝の高原や、夕暮れの海辺。どこにでもふらりと持ち出せて、シャッターを切るたびに「こんな風に撮れるんだ」と心がほどける。
初心者にとっての“最初の相棒”として、これほど信頼できる存在はそう多くありません。

2. Nikon Z fc(ミラーレス)

このカメラに触れると、不思議と撮影が「儀式」のように丁寧になります。
ダイヤルを回し、露出を決め、構図を整える。その一つ一つの所作が、まるでフィルム時代の手作業のようで、風景と向き合う時間を豊かにしてくれるのです。

見た目の美しさに惹かれて手に取る方も多いZ fcですが、その内側にはニコンらしい確かな画づくりが息づいています。
空の青や緑の深みを、誇張せず、でもドラマチックに写す力。
そして、直感的に操れるインターフェースは、写真の“考える時間”を“感じる時間”へと変えてくれます。

「風景写真=特別なこと」ではなく、「風景と暮らすように撮る」。そんな気持ちを自然に育んでくれる1台です。

3. Sony α6400(ミラーレス)

風景の“移ろい”を逃さず捉えたい人にとって、このカメラはとても頼もしい存在です。
特に、空がほんの一瞬で変わる朝焼けや、日没直前のゴールデンアワー。
その一瞬の光にシャッターが反応し、まるで“風景と呼吸を合わせる”ような撮影体験ができます。

α6400の最大の魅力は、世界最速クラスのAF性能と、広いダイナミックレンジ。
明暗差のあるシーンでも、白飛びや黒つぶれを抑えながら繊細な階調を描いてくれます。
また、コンパクトボディながら高解像度で、APS-Cサイズのセンサーとは思えないほどの描写力を誇ります。

「とっさに撮ったのに、驚くほど美しく写っている」。そんな瞬間が増えるたびに、きっとあなたの中の“風景を見る目”が育っていくでしょう。

4. Fujifilm X-S20(ミラーレス)

風景写真に「自分らしさ」を添えたい。そんな想いを抱く人に、フジフイルムのX-S20はとても魅力的な選択肢です。

このカメラの最大の特長は、なんといっても“色”。
クラシッククロームやベルビアなど、フィルムを思わせる色再現がボタン一つで切り替えられます。
ただ綺麗に写すだけでなく、その場の「空気の質感」や「心の温度」までも写真に写し込める──そんな表現力を秘めた1台です。

加えて、バリアングルモニターや強力な手ブレ補正も備え、直感的に構図を探す楽しさを味わえます。
「見た風景」だけじゃなく「感じた風景」を撮りたい。そんな“感性のままにシャッターを切る楽しさ”を、このカメラが教えてくれるはずです。

5. Canon EOS 90D(一眼レフ)

“写真らしさ”を味わいたい人にとって、一眼レフにはまだまだ魅力があります。
とりわけこのEOS 90Dは、3250万画素という高解像度で風景の細部を克明に描き、さらにファインダー越しに見る世界は、どこか懐かしくも芯のある写りを届けてくれます。

電池持ちが良く、光学ファインダーだからこそ「実際の景色の光」を見ながら構図を決められる安心感。
ミラーレスの進化が著しい今だからこそ、この“アナログ感覚”のある撮影体験が逆に新鮮に映るかもしれません。

風景と対話するように構えて、じっくり撮る。
写真という表現に向き合いたい人にこそ、おすすめしたい一眼レフです。

風景写真用カメラ選びのポイント

「この景色、どうしても残したい」と思ったとき──その気持ちにちゃんと応えてくれるカメラは、人によって違うかもしれません。
けれど、風景写真においては外せない“基本の視点”があります。ここでは、そんな選び方のヒントをいくつかご紹介します。

センサーサイズ

風景写真では、どれだけ細かなディテールを描き出せるかが重要な要素になります。
その鍵となるのが「センサーサイズ」です。センサーとは、光を受け取って画像に変える“カメラの目”。
一般的に、大きなセンサーほど高画質で、ダイナミックレンジも広く、明暗の差がある風景にも強くなります。

初心者の方にはAPS-Cセンサーがバランスの取れた選択肢。十分な画質を保ちながらも、カメラ本体やレンズが比較的コンパクトで扱いやすいのが特長です。
一方で、より広い階調やボケ味、夜景などの描写力にこだわりたい方は、フルサイズセンサーのモデルを選ぶのも◎。
あなたの「撮りたい風景」がどんなもので、どんなふうに残したいのか──まずはそこから、考えてみてください。

レンズの選択肢

風景写真はレンズ選びでその印象が大きく変わります。
広大な空や山の稜線をダイナミックに切り取るには、広角レンズが大きな味方になります。
たとえば18mmや24mmといった画角は、肉眼以上に広く風景を見せてくれて、被写体との距離感も自由に演出できます。

また、カメラによって使えるレンズの種類や豊富さも異なります。
交換レンズが多く用意されているメーカーやマウントを選ぶと、将来的に撮影の幅を広げやすくなります。
「今この1本」から始まっても、気づけば「次はこの表現も」と、写真がどんどん楽しくなっていくはずです。

携帯性

風景撮影は、場所ありきの表現です。
行き先によっては長時間の歩行や、気象の変化に対応する必要もあります。そんな時にこそ、“軽さ”や“取り回しやすさ”が大切になってきます。

初心者のうちは特に、重くて複雑な機材より、軽くてサッと構えられるカメラの方が撮影のモチベーションを保ちやすいもの。
登山や旅行、日帰りのロケハンなど、日常の中にある風景を気軽に残すためにも、持ち出しやすいカメラは大きな味方になります。

「今日はなんだか撮りたいな」。そんな直感にすぐ応えられる機材は、表現の幅も、心の軽やかさもぐっと広げてくれます。

操作性

最後に忘れてはいけないのが「操作のしやすさ」です。
風景写真は光の移ろいが早く、設定に手間取っているうちに“ベストな瞬間”が過ぎてしまうことも珍しくありません。

ダイヤルやボタンの配置が直感的であること、画面の見やすさ、設定変更のしやすさ。
そして、初心者向けのガイドモードや説明表示があると、撮影しながら少しずつ学んでいくこともできます。

「操作に迷わず、風景に集中できる」。それは、初心者にとって何より大切な安心感。
カメラに振り回されるのではなく、あなた自身の“見つけたもの”を素直に写し取るために、ぜひ使いやすさにも注目してみてください。

風景写真を美しく撮るためのコツ

カメラやレンズを手に入れたからといって、すぐに理想の1枚が撮れるとは限りません。
でも、それでいいんです。写真は「覚えるもの」でもあり、「感じるもの」でもあるから。
ここでは、初心者でも実践しやすく、なおかつ写真にぐっと深みが出る“風景撮影のコツ”を、いくつかお伝えします。

撮影モードの選択

まず覚えておきたいのが、「絞り優先(AまたはAv)モード」。
これは、背景のボケ具合や全体のシャープさを自分で決めつつ、シャッタースピードはカメラに任せられる設定です。

たとえばF8〜F11程度に設定すると、風景全体がくっきりと写る“パンフォーカス”が得られ、自然の広がりを美しく表現できます。
自分の手で“どう写すか”を少しだけコントロールすることで、写真がただの記録から「伝わる風景」に変わっていく──そんな変化を、きっと感じられるはずです。

ホワイトバランスの設定

風景の「色」は、時間帯や光の方向によって刻々と変化します。
それを正確に、または印象的に写すために、ホワイトバランスの調整はとても重要です。

たとえば、日の出や夕焼けには「曇天」や「日陰」設定であたたかみを強調したり、逆に「蛍光灯」設定でクールな表現も可能です。
オート任せでも撮れますが、自分の“感じた色”を意識的に選ぶことで、写真はもっと“あなたのもの”になります。

露出補正の活用

写真の明るさは、ただの数値ではなく、「どう見せたいか」という表現の一部です。
露出補正は、+(プラス)にすれば明るく、−(マイナス)にすれば暗く調整できる機能。

空を少しオーバー気味に飛ばして“眩しい記憶”を演出したり、木立の中を暗く落として“静寂”を際立たせたり──ほんの少しの補正が、写真の空気をがらりと変えます。
迷ったら「少し変えて、見比べる」。それもまた、写真が教えてくれる学びのひとつです。

三脚の使用

三脚は、単なる道具ではありません。
それは、シャッターを押すという“瞬間の衝動”から、1枚の写真を“選び抜く時間”へと変えてくれる存在です。

特に、日の出前のブルーアワーや星空、渓流のスローシャッター撮影などでは、手ブレを防ぎ、繊細な描写を可能にしてくれます。
また、三脚を据えると、構図をじっくり見つめるようになり、「どう撮りたいか」を自然と考える習慣が育ちます。

“動けない”のではなく、“とどまることで見えてくるものがある”──それが三脚の本当の力なのかもしれません。

まとめ

風景写真は、世界をそのまま写すことのようでいて──実は、「その時のあなたの気持ち」を写しているものかもしれません。

どんなに高価な機材を使っても、心が動かなければ、その写真は“ただの風景”になってしまう。
でも、たとえ小さなカメラでも、その風景に心を重ねた瞬間、写真は“あなたの風景”へと変わります。

今回ご紹介したカメラたちは、どれも初心者に優しく、けれど風景と本気で向き合える力を持っています。
そこにあるのは、ただのスペックではなく、「一緒に見に行きたくなる風景」があるかどうか──という感覚です。

そしてもう一つ大切なのは、「撮りながら、育っていく自分」に気づくこと。
風の音に耳を澄まし、光の移ろいにドキリとし、目の前の景色が少しだけ“愛おしく”思えてくる。
そんな体験を重ねていくうちに、写真はきっと、“技術”ではなく“あなたの目そのもの”になっていくはずです。

さあ、今日もカメラを持って、外へ出てみませんか。
あなたの感じた世界が、誰かの心に届く日を想像しながら。

コメント

タイトルとURLをコピーしました